第 25 回

もう借金をしたくない人の味方!貸付自粛制度を知ろう

保泉 美砂子

もう借金をしたくない人の味方!貸付自粛制度を知ろう

使い道が自由で使い勝手のいいカードローンですが、きちんと計画を立てて上手に利用しないと痛い思いをすることになりかねません。思わぬうちに借金が重なり、苦しくなってしまう恐れがあります。

そんな方へ向け、2019年3月29日から「日本貸金業協会」と「一般社団法人全国銀行協会」が連携して「貸付自粛制度」を実施しています。
今回は、この「貸付自粛制度」についてみていきましょう。

貸付自粛制度の概要

お金を借りたくない本人が「もうお金を借りません」と自己申告すると、それが貸付自粛情報として各信用情報機関に登録され、各情報機関に加盟する金融機関などに対して提供される制度です。

簡単にいうと、申告者が金融機関などで新たに借り入れができなくなるように依頼するということです。

「全国銀行個人信用センター」または「日本貸金業協会」に申告することで、情報は5年間登録されます。登録手数料は無料です。(※郵送申告の場合は切手代が必要)

貸付自粛制度を利用する際の注意するポイント

制度を利用する場合に注意しなければならないポイントは下記の通りです。

申告できるのは原則本人のみ

申告できるのは本人のみで、原則、家族や配偶者が手続きすることはできません。

ただし、未成年者の親権者や成年後見人などの法定代理人等は申告することが可能です。
代理人が申告するには、細かな要件を満たす必要があります。

特殊なケースとして、本人が行方不明などの場合は親族や配偶者が申告することもできます。

申告日から原則3ヶ月は情報を撤回できない

一旦情報が登録されると、カードローンだけではなく住宅ローンやクレジットカードの契約などもできなくなります。
急にお金が必要になっても対応できません。

また、法定代理人による申告の場合は本人による撤回はできません。

利用中のカードローンには適用されない

貸付自粛制度は新たな貸し付けに応じないように自粛を依頼するものですので、利用中のカードローンの契約がなくなったり、借り入れた借金がなくなったりするわけではありません。

絶対に貸し付けないとは限らない

この制度は「信用情報機関に貸付自粛情報を登録する」もので、金融機関などに貸し付けを制限する制度ではありません。貸すか貸さないかの判断はあくまで金融機関が行うので、「絶対」に「自粛」が適用されるわけではありません。

また、各信用情報機関に加盟していない金融機関の場合は適用されないので、
間違ってもヤミ金などに手を出さないようにしましょう。

制度を理解した上で利用しましょう

これ以上借金を増やしたくないけれど、自分ではどうしたらいいかわからないという方にとって貸付自粛制度はとても有効な制度ですが、気をつけたいポイントがいくつかあります。

利用する場合は、きちんと制度の内容を理解した上で申請しましょう。

参考:一般社団法人 全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター > 貸付自粛制度のご案内
   日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター > 貸付自粛制度について

執筆日2023年1月29日
監修日2023年2月13日
執筆者 保泉 美砂子 (ほずみ・みさこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

長く教材制作会社にて、校正や原稿作成など、お金とはほとんど縁のない世界で仕事をしていたが、数年後にやってくる夫の定年退職を機に、一念発起。
二人の子供たちに背中を押され、FP資格取得に向けて勉強を開始し、無事合格を果たすことができた。
FPとしてのステップアップを目指そうと考えていたところに、FPSの求人と出会い、即応募。そして、現在に至る。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

FPおすすめコラム記事
全FPメンバーを見る

関連FPコラム

最新FPコラム

全FPコラムを見る