第 10 回

カードローンのキャッシュレス化・カードレス化と懸念されるリスク

上山 美波

キャッシュレス化・カードレス化

日本政府の後押しもあり、キャッシュレス決済はすっかり日本で普及し、私たちの生活に欠かせない存在になりはじめています。その流れはカードローン業界にも波及しているようです。
今回はカードローンのキャッシュレス化とカードレス化について解説します。

カードローンのキャッシュレス化・カードレス化とは

「キャッシュレス」とは、金銭取引において現金を用いずに決済を行う方法を指します。

代表的なものとして、商品購入時にクレジットカードや電子マネー、スマホ決済を使用して行う決済があります。

カードローンのキャッシュレス化・カードレス化についても、各消費者金融会社が多種多様なサービスを用意しています。

スマートフォンにアプリをダウンロードして、アプリ内でカードローンの申込みから借入まで完結するサービスや、専用アプリをダウンロードして、ATMに表示されるQRコードを読み込むことで、カードレスでお金が借りられるサービスなどがあります。。

キャッシュレス、カードレスとなることで、カードの紛失のリスクがなくなったり、カードを持ち歩かなくても、スマホ一つでお金を借りられたりするというメリットがあります。

カードローンがキャッシュレス化することで危惧すること

キャッシュレスは便利な決済方法ですが、反面、使用する場合に注意しておくべき点もあります。

お金を借りている意識が薄れる

キャッシュレスで借入れを行うと、プリペイドカード残高があたかも自分の銀行預金のような錯覚を起こし、お金を借りている意識が薄れる可能性があります。

ですが、そもそもプリペイドカードにチャージされたお金の源泉は、カードローンで借入をしたお金です。
そのことを忘れないようにしましょう。

現金決済に比べ、お金を使っている意識が薄れる

現金の場合、手元にある現金の残高が目に見えて減るため、お金を使った実感が湧きやすいのが利点です。

一方キャッシュレス決済の場合は、機械に表示された数字だけが減るためお金を使った実感が現金に比べて薄くなりがちです。
ついつい使いすぎてしまわないように、注意が必要となります。

お金を借りるのがより簡単になる

スマホ1つで、借入からプリペイドカードへのチャージが完了してしまうため、お金を借りる手間と心理的ハードルが低くなり、安易に借入を繰り返してしまう人が増えることが予想されます。

お金を借りているという意識を常に持っておこう

カードローンのキャッシュレス化が進むと、より簡単にお金を借りる事ができてしまうので、返済に苦労する人が増加する危険性があります。
手軽で便利という利点は理解しながら、そもそもその借入れが本当に必要なのか、借りた後の返済はどう行うのか、をきちんと確認したうえで利用を検討するようにしましょう。

執筆日2023年2月10日
監修日2023年2月23日
執筆者 上山 美波 (うえやま・みなみ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

滋賀県出身。大学卒業後の就職先で人事総務の仕事を担当。主に社会保険の手続きや給与計算を行っていたが、自身の知識不足を痛感し、FP資格を取得。
現在はさらなる知識向上のため、FP1級、CFP資格の取得を目指すとともに、「お金に苦労する人が少しでも減ってほしい」という思いを持って、FPとしての活動を行っている。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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