第 55 回

気軽に借入れを繰り返してしまう人の末路

上山 美波

気軽に借入れを繰り返してしまう人の末路

ひと昔前のカードローンの無人契約機や店舗などに比べ、最近はパソコンやスマートフォンでさらに簡単にお金が借りられるようになっています。それに伴い、気軽にお金を借りてしまう人が増えているようです。
今回は、気軽に借入れを繰り返してしまう人の行く末がどうなってしまうのかについて解説します。

銀行カードローンを積極的に利用する人の傾向

一般社団法人 全国銀行協会が2020年3月31日に発表した「銀行カードローンに関する消費者意識調査結果報告」から、銀行カードローンを積極的に利用する人の傾向を見てみると、以下のような結果となりました。

・職業は「会社員」
・個人の年収が400万円以下
・借入れの利用歴が5年以上
・主な借入れ目的は「日常的な生活費の支出増加を補うため」

(参考:一般社団法人 全国銀行協会「銀行カードローンに関する消費者意識調査結果報告(2020年3月31日)」)

つまり、「継続的かつ安定した収入がある職につき一般的な収入はあるものの、収入に見合わない生活を見直さないため何度も借入れを繰り返す」という傾向が伺えます。

カードローンでお金を借りるのが、より簡単で便利になっている現状

最近のカードローンは、ローン会社の社員やオペレーターと対面せずともパソコンやスマートフォンで申込みができます。会社によっては、カードすら発行されずに銀行にお金が振込まれるサービスもあります。
そのため「お金を借りる」という意識が希薄になりがちです。

銀行残高が増えると、借入金ではなく、まるで自分のお金であるかのように錯覚してしまう人もいます。

「お金を日常的に借りている」状態は危険

急に高額の医療費が必要になったり、職を失ってなかなか転職先が見つからなかったりなど、やむを得ない理由で一時的にお金を借りるのは、きちんと返済できるのであれば良いかと思います。

しかし、日常的に借入れをしている場合は非常に危険です。
「何に使ったか忘れてしまったが、高額のクレジットカード請求がきている」、「なぜか銀行の残高がほとんどなくなっている」など、収入と支出が把握できていない場合はとても危険です。

ましてや日常的に借入れしていると、自分の収入なのか借入金なのか管理が難しくなり、いつも返済に追われることになります。

お金が返済できなくなったら

収支のバランスが崩れた状態が続くと、借入金が知らずに増えていき、徐々に収入に占める返済額の割合が増えてきます。
そうなると、さらに返済が難しくなっていき、最終的に返済が滞る可能性が高くなります。

返済が遅れると損害遅延金が発生し、その分余計に返済をしなくてはならなくなります。
さらに延滞が長引くと、個人信用情報機関に事故情報が登録されローンが組めなくなるなど、今後の生活に不利益になるケースが多々あります。

最終的に、債務整理という弁護士や司法書士の力を借りて借金の減額や、返済に猶予を持たせてもらうような手続きが必要になる場合があります。

返済に追われる末路は悲惨

最初は気軽な気持ちでお金を借りたとしても、それが日常的になってしまうと返済に追われる生活を送る可能性があります。そんな生活は誰しも望むものではないと思います。

なるべく借り入れをしなくて済むよう家計管理を行い、特別な支出がない限りは収入の範囲内で生活が出来るように、ご自身の家計の収支を見直してみてはいかがでしょうか。。

執筆日2023年2月13日
監修日2023年2月20日
執筆者 上山 美波 (うえやま・みなみ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

滋賀県出身。大学卒業後の就職先で人事総務の仕事を担当。主に社会保険の手続きや給与計算を行っていたが、自身の知識不足を痛感し、FP資格を取得。
現在はさらなる知識向上のため、FP1級、CFP資格の取得を目指すとともに、「お金に苦労する人が少しでも減ってほしい」という思いを持って、FPとしての活動を行っている。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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