第 33 回

総量規制の「除外貸付」「例外貸付」とは?

黒川 一美

総量規制の「除外貸付」「例外貸付」とは?

クレジットカード会社や消費者金融業者など、お金を貸す事業者を対象として「貸金業法」という法律が定められています。

この法律では個人が貸金業者からお金を借り過ぎないよう、借入金の上限が決められています。原則として年収の3分の1が上限となり、この制限のことを「総量規制」といいます。例えば年収300万円の方の借入可能額は、総額100万円です。

しかし、一部の貸付については総量規制にかかわらず、年収の3分の1を超えて借りられる場合があります。
今回は、総量規制を超えて借りることができる「除外貸付」「例外貸付」について、ご説明いたします。

「除外貸付」とは?

「除外貸付」とは、法律で総量規制の対象から省くと決められた契約です。

借入額が大きく、年収の3分の1までという制限に合わせることが難しいことが特徴です。一般的に金利が低く、長期に一定額の返済を行う契約や、担保のある契約が対象です。具体的には次のような契約です。

・高額医療費の貸付
・有価証券を担保とする貸付
・不動産を担保とする貸付
・住宅ローン
・自動車ローン

「例外貸付」とは?

「例外貸付」とは、法律で例外的に総量規制を超えた借入を認められている契約です。

総量規制以上の借入をしても返済ができると判断された場合や、緊急性が高い場合であることが条件です。ただし、例外貸付で借りた金額も総量規制の対象に加算されます。総借入学が総量規制の基準を超えた場合、その後は「除外貸付」や「例外貸付」を除いた借り入れが出来なくなりますので注意しましょう。

例外貸付の対象の一例は次のようなものです。
・金利が下がるなど、返済額が減る借り換え
・本人や親族の緊急な医療費支払の貸付
・配偶者の年収と合算した額の3分の1以下の貸付
・個人事業者への貸付

利用者も多重債務を避ける工夫を

消費者金融等の貸金業者からの借入れは、貸金業法に定めらえた総量規制により年収の3分の1以下とするように規制されています。

しかし、総量規制の「除外貸付」「例外貸付」と呼ばれる貸付については、規制を上回る借入ができます。
「除外貸付」「例外貸付」の制度を正しく把握することで、利用できる範囲が広がり資金計画の助けにもなる場合があります。

しかし、返済義務があることを念頭に置いて、計画的な利用を心がけましょう。

執筆日2023年2月1日
監修日2023年2月6日
執筆者 黒川 一美 (くろかわ・かずみ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大学院修了後、IT企業や通信事業者でセールスエンジニア兼企画職として働く。
出産を機に退職し、お金を稼ぐ側から家計を守る側に立場が変わり、お金の守り方を知らなかったことを痛感。自分に合ったお金との向かい合い方を見つけるため、FP資格を取得する。
資格取得後は、FPの勉強を通じて得られた知識をもとに、よりよい家計管理を求め試行錯誤の日々を過ごす。
現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。

監修者 阿部倉 弘子 (あべくら・ひろこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。

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