第 19 回

過払い金って何?なぜ発生するの?

阿部倉 弘子

過払い金って何?なぜ発生するの?

「過払い金を請求したら、お金が戻ってくるかもしれない」
街の広告やCMなどでそんな言葉を、耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか?

なぜ、過払い金を請求したらお金が戻ってくるのか?
そもそも「過払い金」とは何か?

今回は、そんな疑問にお答えします。

過払い金とは

そもそも「過払い金」とはどんなお金の事を指すのでしょうか?

「過払い金」とは、本来払うべき金額以上に支払ったお金の事です。
特に、法定金利以上の金利が適用された借入金に対して、法律上はすでに返済が終わっているにも係わらず、借りた人が支払った金額を指して言います。

なぜ過払い金が発生するのか

「過払い金」が発生する理由は、借入金に適用される法定金利の上限を定めた2つの法律、出資法と利息制限法での上限金利の違いによるものです。

出資法と利息制限法のズレ - グレーゾーン金利

金融機関から借り入れたお金には一定の金利が適用されますが、その上限は「出資法」と「利息制限法」の2つの法律で定められています。

現在はその2つの法律で定められた上限金利は同じとなっていますが、2010年6月18日に「改正貸金業法」が完全施行されるまでは、以下のように異なっていました。
● 利息制限法の上限利息:20%
● 出資法の上限利息:29.2%

貸金業者は、本来であれば利息制限法の上限利息である「年率20%」で貸付を行うべきなのですが、出資法の上限利息「29.2%」を超えなければ刑事罰に問われなかったことから、年率20%から29.2%の間の金利を適用していました。
この金利幅を「グレーゾーン金利」と呼びます。

過払い請求について

2010年6月18日の改正貸金業法完全施行により、グレーゾーン金利が撤廃されました。

グレーゾーン金利撤廃により、適切な金利が適用されるようになりましたが、改正貸金業法完全施行より前に借入れを行っていた借主から「グレーゾーン金利が適用されていたことにより、本来の返済額以上に支払っていた」として、過払い請求が行われるようになりました。

しかし、過払い金は最後に取引を行った日から10年以上経過すると時効となり、請求ができなくなります。また、2010年6月18日以降に契約した場合は、原則グレーゾーン金利は適用されないことから、そもそも過払い金が発生する可能性は低くなります。

過払い金の確認はしっかりと

利息制限法と出資法という、2つの法律で異なる上限金利が定められていたことから発生した「過払い金」ですが、2010年6月18日完全施行された改正貸金業法により、以降は発生しないものとなっています。

「お金が戻る」と聞くと嬉しくなりますが、一度冷静になってご自身の借入れ履歴を確認し、本当に過払い金が発生するのかを確認した上で、必要であれば専門家の力を借りましょう。

執筆日2023年2月10日
監修日2023年2月13日
執筆者 阿部倉 弘子 (あべくら・ひろこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。

監修者 森島 静香 (もりしま・しずか)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

京都出身、大阪在住。人材紹介会社勤務。キャリアカウンセラーとして顧客の転職活動を支援中。
中立の立場で顧客の相談に乗る中で、お金に関するより専門的な知識を身につけたいと考え、FP資格を取得。プライベートでも2児の母として、育児を経験しており、顧客目線でわかりやすい情報を届けるFPを心掛けている。

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