第 58 回

カードローンを利用しているのはどんな人?数字で紐解くお金の借り入れ

阿部倉 弘子

カードローンを利用しているのはどんな人?数字で紐解くお金の借り入れ

カードローンというと「借金」という文字が頭に浮かび、あまり良いイメージを持たれない方も多いと思います。

カードローンを含む「貸金業」は、一体どのような人がどういう目的で利用しているのでしょうか。

様々な統計の数字から紐解いていきましょう。

日本人の9人に1人が貸金業者から借り入れしている

総務省統計局の「人口推計ー2019年令和元年11月報ー」によると、2019年6月現在(確定値)、20歳以上の日本人口は約10,304万人です。
それに対して、日本信用情報機構が公表している「信用情報に関する統計」の中で「残高有り」の登録人数は、1,093万人となっています(2019年6月)。
この人数は総量規制内の情報なので、住宅ローンなど総量規制外の登録人数は含みません。

つまり、少なくとも約9人に1人が貸金業者からお金を借りているということになり、貸金業は私達の生活に広く浸透していることがわかります。

どういう人がお金を借りているの?

貸金業者のサービスを利用したことがある人の年齢や、男女比をみてみましょう。

日本貸金業協会が公表している「資金需要者等の現状と動向に関する調査結果報告(令和元年9月30日)」によると、2019年3月末時点の消費者向無担保貸付残高のある人の男女比は、男性が63.5%、女性が36.5%となっています。
また年齢別にみると、男女共に40歳代が男性15.8%、女性9.1%と最も多く、次いで50歳代、30歳代と続きます。

総じてみると突出して多い年代や少ない年代はなく、20歳代から70歳代まで幅広く利用しているという印象です。

どういう目的でお金を借りているの?

上記報告の「借入申込を行った際の資金使途」をみると、資金の使い道で最も割合が高いのは「趣味や娯楽(レジャーや旅行を含む)費用」で41.7%でした。次に「食費」が17%、「外食等の遊興費」は14.5%となっています。

また、「銀行カードローン等の利用を考えたことがある(利用している)」と回答した人を年収別にみると、低所得者層(年収300万円以下)が23.8%、中所得者層(年収300万円超)が31.7%、高所得者層(年収800万円超)が31.1%となっており、中〜高所得者層の割合が高めとなっています。

このような情報から、生活に困って仕方なく借りる人がいる一方で、日々の生活に潤いを持たせるためにお金を借りる人が多数いることがわかります。

身近な存在であっても、利用は慎重に

貸金業は、すでに私達のとても身近な存在であることがわかりました。
身近だからといって安易に利用せず、きちんと仕組みを理解した上で上手に利用するようにしたいですね。

執筆日2023年2月6日
監修日2023年2月9日
執筆者 阿部倉 弘子 (あべくら・ひろこ)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

大学卒業後、数年フリーターを経験。その後IT企業へ就職し、システム運用業務に従事。IT企業への就職と同時に始めた一人暮らしで、思い通りに貯蓄が増やせないことに悩んでいた時にFPについて知る。
その後、自身の保険相談や資産運用の相談を通じて、FPの持つ可能性と奥深さに興味を持ち2級FP技能士を取得する。2019年5月AFP認定。現在はIT企業に勤務する傍ら、どんな状況でもお金に振り回されない人生を歩むためのガイド役となるべく活動している。

監修者 坪谷 亮 (つぼや・たすく)
ファイナンシャルプランナー
所属:FPサテライト株式会社

FP(金融)業界の現状を知り、お客様との利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。
個人のお客様だけでなく、法人向けのコンサルティングにも対応するために、中小企業診断士の勉強を経て2021年度に一次試験合格を果たす。
個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートすることを心掛けている。

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